お墓の前でピクニック?沖縄の伝統行事「清明祭(シーミー)」

はいたい~!皆様、4月の行事といえば何を思い浮かべますか?
お花見、入学式、新学期、新生活、クラス替え、花まつりなどなど・・・
暖かな春を迎えるにあたり、日本ならではの行事が思い浮かぶ季節ですね。
沖縄で4月の行事といえば「清明祭(シーミー)」。
旧暦の3月、沖縄本島の中南部を中心にして、各地で盛大な墓前祭が行われる伝統行事のひとつです。
本日はその清明祭(シーミー)についてお伝えしていきます。
清明祭(シーミー)は中国から伝来
先祖供養の行事・清明祭(シーミー)は、18世紀の中頃、中国から伝来したもので、もともとは二十四節気のうちの清明(4月5日ごろ)の節に、農事の始まりに当たって祖霊に加護を求めて祭儀を行ったことによりました。それがだんだん祖先の供養となり、墓前で線香を焚いたり、お花、お酒、果物、御三味(ウサンミ:先祖の墓や仏壇にお供えする重箱料理のこと)などを供えるようになって、沖縄にもたらされました。
沖縄では旧暦の3月(新暦では4月)頃はお墓の前でビニールシートなどを敷いて親戚一同が食事を囲う賑やかな光景をよく見かけます。その賑やかな雰囲気からピクニックとも思われる光景ですが、沖縄独自のお墓参りなのです。
清明祭(シーミー)の手順
①お墓掃除
お墓を綺麗に掃除します。(事前に掃除を行い、当日は簡単に行うところも)
②お供え物・お供え花・お酒を用意する
③線香を焚いて拝みの言葉
手を合わせながら、ご先祖様に感謝の言葉と子孫繁栄の願いを込めた拝みの言葉を言います。
④ウチカビを燃やす
ボウルの中でウチカビを燃やします。
⑤ウサンデー
お供えした供物をいただく事で、ご先祖様のご加護が得られるといわれており、親族一同で頂きます。
「ウサンデーサビラ」と言いながら、お供え物を下げます。言葉の意味は「お下がり物=ウサンデー」「サビラ=頂き
ます」です。
上記でご紹介した清明祭(シーミー)の流れはあくまでも一例です。
各家庭によって流れが異なる場合もあるので、参考程度に留めてくださいね!

ウチカビとは?
沖縄でシーミーやお盆、お彼岸などの先祖供養の際に使用されるあの世のお金のことです。あの世でもご先祖様がお金に困る事のないように、「ウチカビ(打紙)」を燃やして、あの世にお金を送ってあげるという風習があります。
主に墓参りの際やウークイ(旧盆の最終日)などに使用される物ですが、沖縄県では一年を通してスーパーやコンビニなどでも購入することができます。素材はやわらかく、少し黄色い紙で藁や古畳などでできているそうです。

御三味(ウサンミ)とは?
清明祭には、見た目にも美しい重箱料理の御三味(ウサンミ)が並べられます。
各地域、あるいは門中(父方の血族で繋がる一族)によって盛り付けの位置やその材料が異なります。
また最近では、洋風の材料が加わったり、季節の野菜が加わったりして、折衷的な料理という具合になっているそうです。
~重箱に詰める材料~
●お餅
お餅を3個×3列(9個)か5個×5列(25個)の奇数個を詰めます。
お祝い用とされるので、紅餅やよもぎ餅、なかにあんこが入っているお餅もOKです。
●おかず
カステラかまぼこ、揚げ豆腐、田芋の空揚げ、天ぷら、豚三枚肉、赤かまぼこ、ごぼう、昆布巻き、大根、こんにゃくなど。料理の品数は必ず奇数にします。清明祭では墓前側に昆布、自分たちの側に肉がくるように供えます。

沖縄のてんぷら事情

↑沖縄のファミリーマートさんで購入できる、天ぷら店「上間天ぷら」さんのイカ天ぷら♪
「ウサンミ」の漢字は「御三味」であるように、天・地・海から採れた貴重な食材を詰めます。
ウサンミのおかずにも入り 、沖縄のソウルフードとしても知られる沖縄天ぷら。本土の薄いサクサクした食感の衣とは違い、沖縄天ぷらは生地がぽってりと厚く、塩や出汁などで味がついた衣が特徴です。
沖縄てんぷらに使用する主な具材は、白身魚・イカ・もずく・芋など。シーミーでは天・地・海の「海」にあたる魚天ぷらを使用します。
県内では最近からコンビニでも購入出来るほど、手軽にいただけるようになりました。沖縄ならではのソウルフード、見かけた際はぜひお試しくださいね!
まとめ
本土とはまた異なる、沖縄のお墓参りについてご紹介いたしました。人との交流の仕方もスマートフォンやパソコンが普及し、便利になる現在ですが、祖先を敬い、日頃は疎遠な親戚同士が集まる「清明祭(シーミー)」は沖縄ならではのあたたかい交流の場となっているのです!